7つのクリッピングプラグインを徹底比較【比較編】
以前書いたクリッピングプラグインの比較記事は概要編でした。そして、今回いよいよお待ちかねの実際に音で比較する記事です。
前回の記事はこちら⇩
今回比較するのは下記7点。
- StandardCLIP (SIR Audio Tools)
- Saturate (Eventide Newfangled Audio)
- SKYE Clipper (Signum Audio)
- KClip3 (Kazrog Audio)
- Gold Clip (Schwabe Digital)
- Orange Clip (Schwabe Digital)←New
- P44 Magnum (Pulsar Modular)
- Clipper (Softube)←New
実際に音声で比較(CPU使用率)
こちらのドラム音源に、条件を固定して使っています。
合計18dBリダクションをかけて、3dB持ち上げてピークは-15dBになるように掛けています。
元素材、DAWのサンプリングレートは44.1KHzで、
あらかじめピークはDOTEC-AUDIO DeeMMaxで叩いてあります。
DeeMMaxはA.O.M.社のInvisible Limiter(無印)と並ぶ高品質なマキシマイザーです。
オーバーサンプリングはすべてP44 Magnumに合わせて4倍に揃えています。
Softubeもデフォルトで4倍のオーバーサンプリングが適用されているようです。
SKYE Clipperは搭載されていないので除きます。
ハイクオリティはONにしてあります。
SaturateはANTI-ALIASINGをONにしています。
CPU使用率StudioOne 6のパフォーマンスモニターにて参照
CPU: Corei7 6700
RAM: 16GB
GeForce GTX970
変動が大きいもの以外は平均値を記載しています。

StandardCLIPはGUIが昔っぽくて好みが分かれますが、音はしっかり現代に通用するクオリティをしています。
概要編を見てもらえばその凄さが分かると思いますよ。
各アルゴリズムの比較
- Soft Clip Classic (6-7%)
- Soft Clip Pro (6-7%)
- Ratio 2:1 (6-7%)
- Hard Clip (6-7%)
それぞれ僅かな違いしかないですが、空気感と硬さを順に並べると下記のようになると感じます。
Ratio 2:1 ≧ Soft Clip Classic > Soft Clip Pro > Hard Clip
他のクリッパーと比べて中音域の質感が良く、オーバーサンプリング、フィルターも強力である点からも、マスタリングだけでなく、ボーカルなどの繊細な音声に使うのにも向いていると思います。
Hard Clip以外はサチュもあるので、質感の調整にも使えます。
基本的には不要なピークを叩く使い方が合うと思います。
Ratio 2:1 ≧ Soft Clip Classic > Soft Clip Pro > Hard Clip
他のクリッパーと比べて中音域の質感が良く、オーバーサンプリング、フィルターも強力である点からも、マスタリングだけでなく、ボーカルなどの繊細な音声に使うのにも向いていると思います。
Hard Clip以外はサチュもあるので、質感の調整にも使えます。
基本的には不要なピークを叩く使い方が合うと思います。

概要編にも書いてありますが、Detail Preservationがかなり強力です。
最大24dBのDriveもついていて、こちらもマスタリングに使うのにオススメです。
クリッピングしないクリッパーのキャッチコピーの名はどのような音になるのでしょうか。
主要パラメーターの音変化
Detail Preservation OFF- Hard (8%)
- Soft (8%)
- Hard (12%)
- Soft (12%)
Detail Preservationが非常に良い働きをしていて、同じ数値でも歪感がかなり少なく感じます。(DPAをNone0と100%で比較)
温かみがあるトーンに上手いことまとまったような印象です。
クリッパーらしさが少なく、アナログライクな歪感は唯一無二に感じます。
温かみがあるトーンに上手いことまとまったような印象です。
クリッパーらしさが少なく、アナログライクな歪感は唯一無二に感じます。

リアルタイムアンチエイリアシングアルゴリズムにより、オーバーサンプリング無しで動きます。
詳細は概要編で説明しています。
各アルゴリズムの比較
- WARM (8%)
- BITE (7%)
- BRIGHT (4%)
- BRIGHT SATURATOR (8%)
- SMOOTH (6%)
- AGRESSIVE (9%)
- HARD (8%)
AGRESSIVE > BRIGHT > BITE > WARM > HARD > BRIGHT SATURATOR > SMOOTH
というような順で歪みの大きさが変わる印象です。
CPU使用率は全体的に変動大きめです。
AGRESSIVEは低音まで全体的に割れていて、BRIGHTはまだ低音がマシというような違いです。
BITEは名の通り噛みつくような歪みですが、歪みの周波数バランスは悪くないです。
WARMも名の通り、温かみのある高域は控えめに歪んでいる印象があります。
HARDとBRIGHT SATURATORはやや似ていますが、前者の方がアタック感が硬く、時間軸があまりブレない印象があります。後者はやや低域が重たくなる気がします。
SMOOTHも歪こそ少ないですが、中低域に寄った感じがします。
個人的にはHARDとBRIGHT SATURATORが好きです。
というような順で歪みの大きさが変わる印象です。
CPU使用率は全体的に変動大きめです。
AGRESSIVEは低音まで全体的に割れていて、BRIGHTはまだ低音がマシというような違いです。
BITEは名の通り噛みつくような歪みですが、歪みの周波数バランスは悪くないです。
WARMも名の通り、温かみのある高域は控えめに歪んでいる印象があります。
HARDとBRIGHT SATURATORはやや似ていますが、前者の方がアタック感が硬く、時間軸があまりブレない印象があります。後者はやや低域が重たくなる気がします。
SMOOTHも歪こそ少ないですが、中低域に寄った感じがします。
個人的にはHARDとBRIGHT SATURATORが好きです。

KClip3は価格も控えめで頻繁にセールを行いますが、モノは非常に良いです。
CPU使用率こそ上がってしまいますが、最大4バンドでアルゴリズムを入れ替えられるので便利です。
詳細は概要編にて。
各アルゴリズムの比較
シングルバンド- Smooth (5%)
- Tube (9%)
- Tape (10%)
- Crisp (12%)
- Smooth (12%)
- Tube (18%変動大きめ)
- Tape (~20%)
- Crisp (25%変動大きめ)
概要編でも書きましたが、シングルバンドとマルチバンドはかなり違いますね。
これだけでKClip3にはアドバンテージを感じます。
全体的に重心が低く、Smoothはキックの厚みがあり、Tubeは空気感があります。
テープはまさにテープマシンに音量を突っ込んだような歪み方だと思います。
Crispは明るめではありますが、レトロ感のある音になる印象です。
4バンドにするとそれぞれの帯域にかかるだけあって差は少なくなり、どれも空気感のあるサウンドになったと思います。
ドラムなら強めにかけても違和感が少ないと思います。
ただ、低音が増えることで時間軸はやや伸びたような印象もあります。
これだけでKClip3にはアドバンテージを感じます。
全体的に重心が低く、Smoothはキックの厚みがあり、Tubeは空気感があります。
テープはまさにテープマシンに音量を突っ込んだような歪み方だと思います。
Crispは明るめではありますが、レトロ感のある音になる印象です。
4バンドにするとそれぞれの帯域にかかるだけあって差は少なくなり、どれも空気感のあるサウンドになったと思います。
ドラムなら強めにかけても違和感が少ないと思います。
ただ、低音が増えることで時間軸はやや伸びたような印象もあります。

実機のDAコンバーターを現役マスタリングエンジニアがこだわってプラグインにしたのがこのGold Clipです。
ユニークなパラメーターがいくつかあり、クリッパーはその一部です。
概要編でも触れていますが、レビューの方でしっかり解説していますのでそちらをご覧ください。
各アルゴリズムの比較
- Modern (6%)
- Classic (6%)
- Hard (6%)
プラグインを触ると分かりますが、KneeがHard>Classic>Modernの順に緩くなっていきます。
Hardは空気感あるハッキリとした歪み方で、Classicはサイドの音のアタック感が強調されるように残るのが特徴的です。
最も緩いModernもアタック感の聞き心地が良くなっただけで、スピード感はそこまで変わっていないように思います。
音色によってかかり方が変化するように作られているので、イメージで音を決めるのは難しいですね。
耳でしっかり聞いて判断しましょう。
Hardは空気感あるハッキリとした歪み方で、Classicはサイドの音のアタック感が強調されるように残るのが特徴的です。
最も緩いModernもアタック感の聞き心地が良くなっただけで、スピード感はそこまで変わっていないように思います。
音色によってかかり方が変化するように作られているので、イメージで音を決めるのは難しいですね。
耳でしっかり聞いて判断しましょう。

FL StudioのFruity Soft Cllipperの挙動を現役マスタリングエンジニアが数学的に完璧にエミュレートし、Gold Clip譲りの機能性を搭載したプラグインがこのOrange Clipです。
本家と完全に一致する設定も公開しています!!
各アルゴリズムの比較
- Linear Phase Soft (-51.8)
- Linear Phase Medium (-4.4)
- Linear Phase Hard (+0.0)
- Minimum Phase Soft (-51.8)
- Minimum Phase Medium (-4.4)
- Minimum Phase Hard (+0.0)
Phaseの違いにより、少し高音域を中心に変化があるのが分かると思います。
ORANGE(KNEE)の値による違いも明確で、Softにすれば音が丸く、Hardにすればスナップの効いた明るいトーンになるのが分かると思います。
元となるプラグインがトラックメイクを中心によく使われるDAWのものであることもあり、他社と比較するとガッツのある音になっていると思います。
ハード同士で比べると違いが分かりやすく、低音の出方やトランジェントの出方、全体の質感の乱暴さというかいい意味で尖った音を感じます。
純正と完全に同じ設定もできますが、それ以上に明るく硬い音像を作れるのも魅力的です。
ORANGE(KNEE)の値による違いも明確で、Softにすれば音が丸く、Hardにすればスナップの効いた明るいトーンになるのが分かると思います。
元となるプラグインがトラックメイクを中心によく使われるDAWのものであることもあり、他社と比較するとガッツのある音になっていると思います。
ハード同士で比べると違いが分かりやすく、低音の出方やトランジェントの出方、全体の質感の乱暴さというかいい意味で尖った音を感じます。
純正と完全に同じ設定もできますが、それ以上に明るく硬い音像を作れるのも魅力的です。

細部まで知りたい方はこちらをご覧ください。
メーカーの方曰く、Gold Clipと比較してほしいそうです。
納得いくクリッパーがなかったから自分たちでゼロから学んで作ったという力作のようで、こちらも音声によってかかり方が変わるようです。
- HARD CLIP (11%)
- SOFT CLIP (11%)
Gold Clipと比較して、こちらの方が高音域に透明感を感じます。
暖色系と寒色系という違いがあるように感じます。
こだわって作られただけあって、他のプラグインとはトーンの傾向が異なる印象です。
他のパラメーターについてのより詳しい内容、より細かい感想は是非こちらで確認して頂きたいです。
暖色系と寒色系という違いがあるように感じます。
こだわって作られただけあって、他のプラグインとはトーンの傾向が異なる印象です。
他のパラメーターについてのより詳しい内容、より細かい感想は是非こちらで確認して頂きたいです。

RMSのHEADROOM、ANALOG COLORがユニークなプラグインです。
RMSは簡単に説明すると一定時間の音量変化の平均値ということになります。詳細は割愛。
その中でもヘッドルームというのが、クリッピングせずに収録可能な音量の幅を指します。
その設定を変えてクリッパーを適用できるということです。
また、ANALOG COLORはクリッパーで増幅する奇数倍音ではなく、偶数倍音をより多く出すような機能です。
最大値にしても比較的些細な変化ですが、聴き比べると確かに響きが違います。
詳細はレビュー解説の記事で行っていますので、そちらをご覧ください。
アルゴリズムも分かりやすいものとそうでないものがありました。
マスタリングで味付けをするのか、繊細なところを追い込みたいのか、各社で考え方が分かれていますね。
また、オーバーサンプリングも各社で考え方が違います。
多くが4倍以上を推奨していて、StandardCLIPは数値が高ければ高いほど良いという考えのようです。
聞き比べるとPulsar Modularはやはりすごいですね。
クリッピングプラグインならではのアナログライクなトーンとデジタルのクリアさを高次元で維持している印象でした。
GoldClipはアナログらしい質感が加わり、味わい深いトーンだと思いました。
結局は音源ソースと使い方次第ということになってしまいますが、参考になれば幸いです。
次回もお楽しみに!
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- ANALOG COLOR OFF (8-12%)
- ANALOG COLOR ON (8-12%)
- ANALOG COLOR差分 (8-12%)
- HEADROOM +18dB (8-12%)
- HEADROOM -18dB (8-12%)
- HEADROOM差分 (8-12%)
ANALOG COLORは非常に繊細な変化であり、差分を聞かないと分からないレベルかもしれません。
音階楽器だともう少し分かりやすくなるかもしれませんが。。。
HEADROOMはほんのりとした変化量ですが、聞き比べるとやはり音が大きいアタック部分にかなりの変化があります。
それもゲインが計36dB違うからかもしれません。
CPU使用率は変動が大きく、他のプラグインと違って指定の箇所より早めにCPU使用率が高くなるため、先読みをして処理されているように思います。
音階楽器だともう少し分かりやすくなるかもしれませんが。。。
HEADROOMはほんのりとした変化量ですが、聞き比べるとやはり音が大きいアタック部分にかなりの変化があります。
それもゲインが計36dB違うからかもしれません。
CPU使用率は変動が大きく、他のプラグインと違って指定の箇所より早めにCPU使用率が高くなるため、先読みをして処理されているように思います。
感想・まとめ
各社で差が分かりやすいもの、分かりにくいものがあります。アルゴリズムも分かりやすいものとそうでないものがありました。
マスタリングで味付けをするのか、繊細なところを追い込みたいのか、各社で考え方が分かれていますね。
また、オーバーサンプリングも各社で考え方が違います。
多くが4倍以上を推奨していて、StandardCLIPは数値が高ければ高いほど良いという考えのようです。
聞き比べるとPulsar Modularはやはりすごいですね。
クリッピングプラグインならではのアナログライクなトーンとデジタルのクリアさを高次元で維持している印象でした。
GoldClipはアナログらしい質感が加わり、味わい深いトーンだと思いました。
結局は音源ソースと使い方次第ということになってしまいますが、参考になれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございます。
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— MazQ / MusicMaker (@MazQmusic) 2019年1月30日
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次回もお楽しみに!
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