昨日の続きになります。
途中まで内容一緒なので読み飛ばして構いません。


先日私の大好きなI've Soundの名曲からボーカルを抽出し、2人の歌声を1曲にまとめてみました。
公にアップロードはできませんが、非常に得ることが多かったです。
今回やったことで得た情報を2回に分けて紹介したいと思います。
1回目はオケとボーカルのバランスを取るのにはどうするか、ということにフォーカスしてお送りいたします。

楽曲紹介
まず、私がミックスの参考にした存在の一つでもあるI've Sound
知らない方の為に軽く紹介します。
札幌を拠点に活動する音楽制作集団で、作編曲はもちろん、歌手の発掘プロデュース、ミックス、マスタリングまで一連の流れ(完パケまで)を20年以上前から自らでやっていました。
美少女ゲームからアニソンを中心に楽曲制作をしています。
川田まみ、KOTOKOという名前は多くの方に知られていると思います。

実はサウンドトラックも作っていたこともあります。
とあるシリーズのサウンドトラックが有名です。
この曲を書いた井内舞子さんもかつてI'veの一人でした。


I'veメンバーのうち、2人記事に書いてますので御覧ください。



当時は彼らのように自らで完パケする人たちは少なかったですが、打ち込み、DTMというものが誕生した現代では一人で完パケすることに比較的敷居が低くなりました。
そのため、曲はいいのに音が潰れているなんてことが増えてしまっています。

そんな時代だからこそ気をつけるべきことを今回は述べていきたいと思います。

今回はボーカルトラックとインストルメントトラック(以下インスト)のバランスについてフォーカスしつつ、ミックスで心がけると良いこともしっかり深堀りしていこうと思います。

目指すはマキシマイザーに頼らないでデカい音!!




ここまでは内容同じ!ここからが本題!!


ボーカルをオケに馴染ませるテクニック7選

1.Aメロ、Bメロ、サビなどのパートごとに音量を整える
ミックスの基本はまずフェーダーワーク、こと音量の調整から始まります。
楽曲の盛り上がり具合に合わせてボーカルの聞こえ具合は大きく変わります。(音数、位相の関係)
そのため、まずは0.5db単位で各パートを調整しましょう。
多くの場合、曲中には転調があり、楽曲の音数が変化することからこの各パートごとに調整するのは基本的な心がけとして必要です。


2.楽曲のトーンに合わせて高域を調整する。
声質によっては高域がピーキーだったりします。そういう場合は容赦なくEQで高域を削ったり、逆に抜けてこなければ持ち上げていいと思います。
screenshot.319

声を張る時に音量が大きく、鋭く聞こえるなんてこともあるため、マルチバンドコンプで高域だけコンプレッサーをかけるというのもありだと思います。
ディエッサーというものがソレに近い動作をしますが、複数箇所絞ってかけることもできるマルチバンドコンプを私はおすすめします。
(ちなみにディエッサーは耳につくEssサウンドを減らす効果から名付けられました。)
screenshot.320

また、余談ですが、マルチバンドを隣り合わせで使うと2重でコンプレッサーがかかるので音が濁ってしまいます。その場合はこのように使いましょう。
コンプと反対に動作するエキスパンダーで低い音域を持ち上げるのも一つのテクニックです。
screenshot.321


3.パラレルコンプを活用する

パラレルというのは並列という意味で、原音にコンプで圧縮された音を混ぜるという意味で使われています。ちなみに和製英語ですw
私は抜けの悪く聞こえた声にはこのような設定でOTTをかましています。
このコンプはDepthがMIXと同じ役割のパラメータになっています。
多くの方が驚くかもしれませんが、よく馴染みます。
OTTに限らず音の輪郭を整えるにはパラレルコンプは大事です。
screenshot.322


4.サチュレーターを使う。
音に倍音を加えて目立たせる効果を発揮します。
私はSonnox Oxford Inflatorを愛用しています。

使い方はまずEFFECTを100%にしてCURVEで声のトーンをコントロールします。
もともと目立つところをさらに伸ばす、足りないところを補完して馴染ませるポイントをそれぞれ適材適所で使い分けるとメリハリが出ます。
後ほど解説するリバーブのところでもサチュレーターは使うので、原音と使い分けるのが良いと思います。
最後にEFFECTを絞っていき、好みのところで固定すればOKです。
screenshot.323


5.残響を入れる
リバーブをかけることで反響により音がにごり、ボーカルが馴染みます。
ディレイで左右から音が返ってくるのも広がり感が出て良いです。

センドを活用して原音と残響のトラックを分けましょう。
StudioOneはミキサー画面で右クリック、FXトラックを追加、ボーカルトラックのセンド、+からFXトラックに指定してあげればOKです。バーが黄色になるようにするとボリュームフェーダーに関係なく同じ音量でFXトラックに信号が送られます。

リバーブの残響はきれいなものから、モジュレーションがかかった濃い音まであります。音数に合わせて選びましょう。
リバーブも設定変えたものを複数に分けたり(パラレル)、各パートで設定を変えるなど凝ると非常にボーカルの質感が豊かに聞こえます。

設定に関しては
ディレイ、リバーブともにPreDelay(リバーブのみ)、Decay Time(減衰時間)とStereo Width(ステレオ幅)が特に重要です。
減衰時間が短いと輪郭が適度ににごり、曲に馴染みます。長いと空間の広さに影響が出ます。
PreDelayは複数リバーブをかけた時は特に音がかぶらないように設定します。
StereoWidthは同じ場所にリバーブが重なるとそこが濁ってしまうので分けれるように設定します。

あくまでテキトーに作ったステレオイメージの例なので、まったくもって正しくはないのですが、
このように残響が程々にかぶるのは良いのですが全てかぶってしまうとただうるさいだけになってしまうので注意が必要です。狙ってやるのは良いですけど。
ミックス ステレオ
また、EQで余韻の質感をコントロールすることも効果的です。(基本的には高域だけでOK)
これだけでは馴染み足りないかもしれません。
4のサチュレーターを設定違いでここでも使います。
また、パラレルコンプもするとさらに音が馴染みます。
u-heのPresswerkがいい仕事をしてくれます。


言い忘れました!
リバーブをかけたものはしっかりローカット、ローシェルフをしたほうが良いです。
なぜなら音が複雑になっていて、濁りに繋がってしまうからです。


5.5.パンニングをする
ボーカルの原音は多くの場合、モノラルです。
しかし、ベース、キックもモノラルに近い物が多く、基本的には真ん中に定位しています。
そのため、わずかに左右にずらすことで音の衝突を避けることができます。
普段ならDOTEC-AUDIOのDeePanpotを勧めたいところですが、モノラルには適用できないので、原音とセンドリバーブで分ける場合は使えません。
そのため、Panpotを使う場合はバス・トラックにまとめて、そこで使うと良いでしょう。
複数ボーカルがある場合は必要ですが、1人の場合はしなくても構いません。



6.要所の細かいフェーダーワーク
StudioOneにはMixToolというユーティリティプラグインが入ってます。
このようにオートメーションを活用し、目立ちすぎるところは抑えて、必要なところは持ち上げます。
MixToolを使うとエフェクトチェインの好きなタイミングでボリューム調整ができますが、
私は基本的に一番最初の段に挿します。そのためStudioOneのバージョンが5以降であればMixToolなしでも直接波形編集ができます。
screenshot.324


7.仕上げのモデリングコンプ
このようにインサートしました。
Limitlessはサチュレーション、EQでローカット、LA2Aで輪郭を整えました。
Edelweiss72のEQは優秀なのでオケで引いたらボーカルに足す、あるいはその反対の調整をする形でバランスを取りました。
screenshot.325

Black Rooster AudioのVLA-2A(LA-2Aという真空管オプトコンプのモデリング)を軽くかけることでより一層馴染みます。アタックリリースタイムが扱いやすい長さなんですよ~
Wavesのも評判高いですし、良いと思います。ただ、多くのビンテージ系はアタックリリースタイムのツマミが通常とは逆に動作するので注意が必要です。
screenshot.326

リダクションとゲインのツマミが個別操作で音量調整をするのが大変な人は
前後にこのプラグイン(19ドル)を挟んでみると勝手に調整してくれて便利らしいです。


ちなみにこのBlack Rooster Audio(BRA)は以前のBFセールに関する記事でも
「セール価格は非常に安いのに音が優秀」ということを書いています。クリアな音質でオススメ!


また、LA-2Aの後継機種であるLA-3Aはアンプの回路にトランジスタを使っていることから音質がソリッド、とも言われています。それらを2段がけしたり、その他FETタイプの1176や1178などをパラレルして仕上げるのも良いと思います。


後述
今回はボーカルに焦点を当てましたが、普段曲を作る時に考えていることにも当てはまることが多々あったかな、と思います。
また機会があればインストルメント、オケの作成時の心がけについても解説していこうかな、とも思っております。どうぞよろしくお願いします。






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以上
MazQでした〜!



次回もお楽しみに!