前回の解説記事に加えて今回もハードスタイルキック解説していきたいと思います。
今回はTail編ということでベース部分の解説をしていきます。
ちなみにきっかけは
ハードスタイルキックの作り方をまともに紹介している人が日本だとほとんどいないからです。
そもそも海外でも情報が少なく、要点を掴むまで時間がかかるので私がわかりやすくまとめるしかない、と思いました。
まずは関連記事の紹介。
ハードスタイルとはなんぞやという方はこちら↓
前回の記事(Tok編)はこちら↓
読んだ方でご自身のイメージにたどり着けない方、いらっしゃると思います。
というのも上記の記事作成時点ではここまでしかTokを作れませんでした。
現在はより良いものができていますので、曲ができたらまた解説していきたいと思っています。
Sylenth1で別のキックを作り、記事で紹介しているEQ、ディストーションの設定を適用して加工して、、、続きはまた後日!
さて、本題、ハードスタイルキックTail編の解説に入っていきたいと思います。
まず、Tailを作成するにあたって参考にした動画ありますので、そちらをどうぞ。
動画ではハードスタイルDJ/プロデューサーであるToneshifterzがCubase付属のプラグイン、Distroyerを使ってハードスタイルキックの解説をしています。
Tok、Punchと呼ばれる部分はだいたいサンプルを使っていて解説が省かれていますが、同時にTailの作り方を事細かなに要点を解説している動画はあまりありません。
大きな要点は2つです。
1.いわゆるDCオフセット、0dbを基準として上と下で波形が非対称になることで異なる倍音を加えることができること。
(動画では歪みの波形を変えることによる音のキャラクターの変化も説明している)
2.派手な歪みの間に動画のようなEQを入れることでハードスタイルキックらしくなること。
以上を踏まえて私独自にキックのTailを作りました。
作った曲で使用したTailを元に解説しようと思いましたが、プロジェクト開いて遡るのが億劫だったので新しく作りました。
使ったのはSylenth1(サイン波生成)、使いやすいEQ(自分はEQuick)、Trash2、CamelCrusherのみです。
ちなみに、Tailを作るときはKick2は使わないほうがいいです。何故かというと1Hz違っても同じG1になることがあるからです。あとからサブベースを足すのはなんとかなりますが、ピッチングしたときにずれてしまいます。
【追記12.16.2021】
Trash2が無料配布されてます!
解説
1.サイン波の生成
まずはSylenth1でサイン波を出します。

OCTAVE-1にすると、G1で鳴らしたときに50Hz近辺で鳴ります。
VOICEはオシレーターの数重ねると音量が大きくなりますが、1でいいです。
RETRIGは必ずONにして毎回同じ波形が生成されるようにしてください。
後ほどサブベースを足したときに位相ズレでスカスカな低域にならないよう、必ずPHASEはデフォルト左に振り切っておいてください。
(いじる場合はサブベースを足すときと同じPHASEの位置になるようにしなければいけません。)

次にエンベロープです。これがかなり重要です。
Deceyを4.5のあたりに持ってくると歪ませたときにハードスタイルキックらしくなります。
リリースはあまり重要ではありませんが、0にするとプチンとノイズが乗るのでちょっと伸ばしておきましょう。

続いて、モジュレーションエンベロープです。
Tailだけを作るならピッチをアサインしてキックを作る必要はないのですが、ディストーションやEQの調整がやりにくいため是非アサインしましょう。
コツは短いエンベロープと高めのピッチ(右)、少し長めのエンベロープとちょっと低いピッチ(左)をアサインしてキックを作っています。
いわゆるキックの基本的な作り方(超短時間で高い音から超低域までスイープさせる)で、ハードスタイルのミッドイントロでよくあるキックはこのようにして作ります。
ちなみにミッドイントロのキックについては下記動画で解説されています。
2.ディストーションとEQの下ごしらえ

不要な低域をカットし、200Hz近辺まで数dbほど削り、ハイエンドも削ります。
低域を含んでいると開放感のある歪み方になりにくいからです。
Soundcloudでは1つ目のキックになります。

続いてディストーションでは軽くかけています。
これは一番上の動画を参考にしています。サイン波がほんの少しだけ叩かれます。
Soundcloudでは2つ目のキックになります。あまり違いはわからないかもしれません。
3.強烈な歪みを加える

ほぼ矩形波に近いような波形にしてPreのゲインも上げています。
ここでBipolarをONにして非対称の波形にするとより良い歪み方をしてくれます。
4.600Hz前後を大きくブーストする

ハードスタイルキックはこの真ん中を持ち上げて200Hzあたりのローミッドを下げることが要になります。
5.徐々に歪ませていく。

歪ませすぎるとそれっぽくなくなってしまうのでほどほどに歪ませます。
持ち上げたところを中心に歪んでくれます。カーブも大事ですが、Preの調節も忘れずに。
6.中域のブーストに加えて高域のカット、ローミッドのカットもしてよりイメージに近づける。

実は中域のブーストだけでなく、ローミッドのカットも大切です。
膨らんだ低域をカットしてローエンドが後から迫ってくるような音にするためです。
高域は一旦下げて過剰に歪みすぎないようにしています。
7.少し派手めな歪を加える

5の歪に近いカーブですが、Bipolarで左下のカーブをキツめにしてあります。
またDC Filterをオフにして上下非対称の波形にしています。単純に外したほうが音が好みだったからです。正直これで完成にしてもいいと思います。
8.EQを使って各帯域に動作をつける。

まずはこちら低域をカットしてしまいます。
そして残りのEQは時間軸に合わせてオートメーションで動かしていきます。
これがとても重要です。動かし方によってかなりキックのキャラクターが変わっていきます。
あ、書き忘れましたがプロジェクトのBPMはハードスタイルの標準である150にするとやりやすいです。
8.1.ローミッド・黄色のEQ

一度減衰して後で持ち上がるような動きになっています。
この動きは低いサブベースの後、裏拍の部分でそのオクターブ上に当たる部分の音量が上がるようにするためにつけています。次のキックへの繋ぎがとてもいい感じになります。
8.2.中域・緑のEQ(オートメーションは水色)

このカーブもキャラクターに大きく作用します。今回はTailだけじゃなくてそのままでもキックとして使えるようにしたいのもあって、アタックは中域を持ち上げて、よりハードスタイルキックらしい動きをつけました。ここをいじるとかなりキャラクターが変わります。
8.3.高域のローパス・紫のEQ(オートメーションは緑)

キックの減衰に合わせてローパスフィルターをかけることでより動的なキックになります。
また、裏拍後半3/16のところから少し上がっているのは次のキックとのグルーヴがよくなったと感じたからです。
ちなみに1/16(4つ打ちの1拍を4分割)ごとのEQの動きはこのような感じです。
1/4

2/4

3/4

4/4

9.リミッターとしてのTrash2


完全にリミッターとしてTrash2を挿しました。
フィルターで少しだけ低域上げてます。
10.完成!!!!!
最後に通して聞いてみましょう!
後述
今回低域をカットしたのはサブベースを別に何個か作ってよりグルーヴを追求しようと思ったからです。なので低域のカットはしないで作っていただいて構いません。
もし、同じようにやる場合はサブベースは同じ位相のサイン波を鳴らし、Sylenth1のフィルターにあるDriveで歪ませたものを書き出して歪みを何度もかけたものと、比較的シンプルなものなど複数用意して、重ねます。
ローエンドはアタック以外最後の方までしっかり鳴らして、歪が強めのサブは表拍と裏拍の間のあたりを鳴らすととても良かったです。
わかりにくいと思った方、コメントしていただければ実際に重ねたものを紹介しようと思います。
さて、今回の解説は以上です。
長らくおまたせしましたが、かなり良いキックが作れて、それを解説できて大変光栄です。
また記事あげていくのでよろしくおねがいします。
最後までお読みいただきありがとうございます。
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以上
MazQでした〜!

次回もお楽しみに!
今回はTail編ということでベース部分の解説をしていきます。
ちなみにきっかけは
ハードスタイルキックの作り方をまともに紹介している人が日本だとほとんどいないからです。
そもそも海外でも情報が少なく、要点を掴むまで時間がかかるので私がわかりやすくまとめるしかない、と思いました。
まずは関連記事の紹介。
ハードスタイルとはなんぞやという方はこちら↓
前回の記事(Tok編)はこちら↓
読んだ方でご自身のイメージにたどり着けない方、いらっしゃると思います。
というのも上記の記事作成時点ではここまでしかTokを作れませんでした。
現在はより良いものができていますので、曲ができたらまた解説していきたいと思っています。
Sylenth1で別のキックを作り、記事で紹介しているEQ、ディストーションの設定を適用して加工して、、、続きはまた後日!
さて、本題、ハードスタイルキックTail編の解説に入っていきたいと思います。
まず、Tailを作成するにあたって参考にした動画ありますので、そちらをどうぞ。
動画ではハードスタイルDJ/プロデューサーであるToneshifterzがCubase付属のプラグイン、Distroyerを使ってハードスタイルキックの解説をしています。
Tok、Punchと呼ばれる部分はだいたいサンプルを使っていて解説が省かれていますが、同時にTailの作り方を事細かなに要点を解説している動画はあまりありません。
大きな要点は2つです。
1.いわゆるDCオフセット、0dbを基準として上と下で波形が非対称になることで異なる倍音を加えることができること。
(動画では歪みの波形を変えることによる音のキャラクターの変化も説明している)
2.派手な歪みの間に動画のようなEQを入れることでハードスタイルキックらしくなること。
以上を踏まえて私独自にキックのTailを作りました。
作った曲で使用したTailを元に解説しようと思いましたが、プロジェクト開いて遡るのが億劫だったので新しく作りました。
使ったのはSylenth1(サイン波生成)、使いやすいEQ(自分はEQuick)、Trash2、CamelCrusherのみです。
ちなみに、Tailを作るときはKick2は使わないほうがいいです。何故かというと1Hz違っても同じG1になることがあるからです。あとからサブベースを足すのはなんとかなりますが、ピッチングしたときにずれてしまいます。
【追記12.16.2021】
Trash2が無料配布されてます!
解説
1.サイン波の生成
まずはSylenth1でサイン波を出します。

OCTAVE-1にすると、G1で鳴らしたときに50Hz近辺で鳴ります。
VOICEはオシレーターの数重ねると音量が大きくなりますが、1でいいです。
RETRIGは必ずONにして毎回同じ波形が生成されるようにしてください。
後ほどサブベースを足したときに位相ズレでスカスカな低域にならないよう、必ずPHASEはデフォルト左に振り切っておいてください。
(いじる場合はサブベースを足すときと同じPHASEの位置になるようにしなければいけません。)

次にエンベロープです。これがかなり重要です。
Deceyを4.5のあたりに持ってくると歪ませたときにハードスタイルキックらしくなります。
リリースはあまり重要ではありませんが、0にするとプチンとノイズが乗るのでちょっと伸ばしておきましょう。

続いて、モジュレーションエンベロープです。
Tailだけを作るならピッチをアサインしてキックを作る必要はないのですが、ディストーションやEQの調整がやりにくいため是非アサインしましょう。
コツは短いエンベロープと高めのピッチ(右)、少し長めのエンベロープとちょっと低いピッチ(左)をアサインしてキックを作っています。
いわゆるキックの基本的な作り方(超短時間で高い音から超低域までスイープさせる)で、ハードスタイルのミッドイントロでよくあるキックはこのようにして作ります。
ちなみにミッドイントロのキックについては下記動画で解説されています。
2.ディストーションとEQの下ごしらえ

不要な低域をカットし、200Hz近辺まで数dbほど削り、ハイエンドも削ります。
低域を含んでいると開放感のある歪み方になりにくいからです。
Soundcloudでは1つ目のキックになります。

続いてディストーションでは軽くかけています。
これは一番上の動画を参考にしています。サイン波がほんの少しだけ叩かれます。
Soundcloudでは2つ目のキックになります。あまり違いはわからないかもしれません。
3.強烈な歪みを加える

ほぼ矩形波に近いような波形にしてPreのゲインも上げています。
ここでBipolarをONにして非対称の波形にするとより良い歪み方をしてくれます。
4.600Hz前後を大きくブーストする

ハードスタイルキックはこの真ん中を持ち上げて200Hzあたりのローミッドを下げることが要になります。
5.徐々に歪ませていく。

歪ませすぎるとそれっぽくなくなってしまうのでほどほどに歪ませます。
持ち上げたところを中心に歪んでくれます。カーブも大事ですが、Preの調節も忘れずに。
6.中域のブーストに加えて高域のカット、ローミッドのカットもしてよりイメージに近づける。

実は中域のブーストだけでなく、ローミッドのカットも大切です。
膨らんだ低域をカットしてローエンドが後から迫ってくるような音にするためです。
高域は一旦下げて過剰に歪みすぎないようにしています。
7.少し派手めな歪を加える

5の歪に近いカーブですが、Bipolarで左下のカーブをキツめにしてあります。
またDC Filterをオフにして上下非対称の波形にしています。単純に外したほうが音が好みだったからです。正直これで完成にしてもいいと思います。
8.EQを使って各帯域に動作をつける。

まずはこちら低域をカットしてしまいます。
そして残りのEQは時間軸に合わせてオートメーションで動かしていきます。
これがとても重要です。動かし方によってかなりキックのキャラクターが変わっていきます。
あ、書き忘れましたがプロジェクトのBPMはハードスタイルの標準である150にするとやりやすいです。
8.1.ローミッド・黄色のEQ

一度減衰して後で持ち上がるような動きになっています。
この動きは低いサブベースの後、裏拍の部分でそのオクターブ上に当たる部分の音量が上がるようにするためにつけています。次のキックへの繋ぎがとてもいい感じになります。
8.2.中域・緑のEQ(オートメーションは水色)

このカーブもキャラクターに大きく作用します。今回はTailだけじゃなくてそのままでもキックとして使えるようにしたいのもあって、アタックは中域を持ち上げて、よりハードスタイルキックらしい動きをつけました。ここをいじるとかなりキャラクターが変わります。
8.3.高域のローパス・紫のEQ(オートメーションは緑)

キックの減衰に合わせてローパスフィルターをかけることでより動的なキックになります。
また、裏拍後半3/16のところから少し上がっているのは次のキックとのグルーヴがよくなったと感じたからです。
ちなみに1/16(4つ打ちの1拍を4分割)ごとのEQの動きはこのような感じです。
1/4

2/4

3/4

4/4

9.リミッターとしてのTrash2


完全にリミッターとしてTrash2を挿しました。
フィルターで少しだけ低域上げてます。
10.完成!!!!!
最後に通して聞いてみましょう!
後述
今回低域をカットしたのはサブベースを別に何個か作ってよりグルーヴを追求しようと思ったからです。なので低域のカットはしないで作っていただいて構いません。
もし、同じようにやる場合はサブベースは同じ位相のサイン波を鳴らし、Sylenth1のフィルターにあるDriveで歪ませたものを書き出して歪みを何度もかけたものと、比較的シンプルなものなど複数用意して、重ねます。
ローエンドはアタック以外最後の方までしっかり鳴らして、歪が強めのサブは表拍と裏拍の間のあたりを鳴らすととても良かったです。
わかりにくいと思った方、コメントしていただければ実際に重ねたものを紹介しようと思います。
さて、今回の解説は以上です。
長らくおまたせしましたが、かなり良いキックが作れて、それを解説できて大変光栄です。
また記事あげていくのでよろしくおねがいします。
最後までお読みいただきありがとうございます。
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以上
MazQでした〜!

Twitter ID:@MazQmusic
— MazQ / MusicMaker (@MazQmusic) 2019年1月30日
SoundCloud: https://t.co/Wz1FUfcio8
Blog:https://t.co/Nc3MslA1jb
AudioStock:https://t.co/k7ob0roCA6
次回もお楽しみに!
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